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親の介護施設費用は確定申告で医療費控除できる?施設別の対象範囲と注意点

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親が介護施設に入所していると、毎月の施設費用は大きな負担になります。子世代が費用を支払っている場合、「確定申告で医療費控除を受けられないか」と考える方も多いでしょう。

ただし、介護施設費用がすべて医療費控除の対象になるわけではありません。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院など、施設の種類によって対象となる範囲が異なります。また、食費・居住費・日常生活費の扱いも施設区分や費用の性質によって変わります。

この記事では、親の施設費用を支払った子世代に向けて、確定申告で医療費控除の対象になり得る費用、対象外になりやすい費用、必要書類、申告時の確認ポイントを整理します。最終的な適用可否は個別事情で変わるため、迷う場合は施設の事務担当者、税務署、税理士に確認してください。

目次

親の介護施設費用は確定申告で控除できる?

親の介護施設費用は、一定の条件を満たす場合、子が自分の確定申告で医療費控除として申告できる可能性があります。医療費控除とは、本人や生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費が一定額を超えたとき、所得から差し引ける制度です。

介護施設に関する費用では、医療や介護サービスとしての性質がある部分が対象になり得ます。一方で、日用品代、嗜好品費、特別なサービス費用など、生活上の支出と考えられるものは対象外となる場合があります。

特に重要なのは、施設の種類です。特別養護老人ホームでは、介護費・食費・居住費の自己負担額のうち、原則として2分の1相当額が医療費控除の対象とされています。一方、介護老人保健施設や介護医療院では、介護費・食費・居住費の自己負担額が医療費控除の対象となり得ます。

領収書に「医療費控除対象額」が記載されている施設もあります。まずは領収書を見て、対象額が明示されているか確認することが大切です。

医療費控除を受けるための基本条件

親の施設費用を子が申告するには、施設費用の内容だけでなく、「誰のために」「誰が」「いつ」支払ったかも重要です。医療費控除の基本条件を確認しておきましょう。

親と「生計を一にしている」場合とは

医療費控除は、自分自身の医療費だけでなく、生計を一にする親族のために支払った医療費も対象になります。「生計を一にする」とは、必ずしも同居していることだけを意味しません。

たとえば、親と別居していても、子が親の生活費や施設費用を継続的に負担しているなど、生活費の面で一体と見られる事情があれば、生計を一にしていると判断される可能性があります。一方で、親が自分の年金や預貯金から施設費用を支払っており、子が実質的に負担していない場合は、子の医療費控除として申告することは難しくなります。

生計の状況は家庭ごとに異なるため、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認しましょう。

誰が施設費用を支払ったかが重要

親の施設費用を子が申告する場合、実際に子がその費用を支払っていることが重要です。医療費控除は「支払った人」が受ける控除だからです。

たとえば、子の口座から施設へ振り込んでいる、子が施設窓口で支払っている、子のクレジットカードで支払っているといった場合は、子が負担したことを説明しやすくなります。反対に、親の口座から引き落とされている費用を、後から子が一部補助しているような場合は、実態に応じた確認が必要です。

支払者が分かる通帳、振込記録、カード明細なども、必要に応じて確認できるようにしておくと安心です。

その年の1月1日から12月31日までに支払った費用が対象

医療費控除で対象になるのは、その年の1月1日から12月31日までに実際に支払った医療費です。施設から請求書が届いていても、年内に支払っていないものは、その年の控除対象にはなりません。

たとえば、12月分の施設費を翌年1月に支払った場合、その費用は翌年分の医療費控除の対象として考えます。領収書の日付や口座引き落とし日を確認し、年ごとに分けて整理しましょう。

医療費控除の金額は、支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引き、原則として10万円、または総所得金額等の5%を超える部分が対象になります。総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%が基準になります。

施設の種類別|医療費控除の対象になる費用

介護施設費用の医療費控除では、施設の種類ごとの扱いを確認することが重要です。同じ「介護施設」でも、対象となる費用の範囲は同じではありません。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、介護保険法上の介護老人福祉施設です。特養に入所している場合、介護費、食費、居住費の自己負担額のうち、原則として2分の1相当額が医療費控除の対象とされています。

ここでいう介護費は、施設サービス費の自己負担分などを指します。食費や居住費についても、対象となる部分はありますが、全額ではなく2分の1相当額が基本です。

一方、日常生活費、特別な食事や個別サービスの費用、理美容代などは、医療費控除の対象外となる場合があります。領収書に「医療費控除対象額」が記載されている場合は、その金額を必ず確認しましょう。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設、いわゆる老健は、在宅復帰やリハビリを目的とした介護保険施設です。老健に入所している場合、介護費、食費、居住費の自己負担額が医療費控除の対象となり得ます。

特養とは異なり、国税庁の案内では、介護保険施設サービスの対価として支払った介護費、食費、居住費が対象となるものとして整理されています。ただし、日常生活費や特別なサービス費用まで当然に含まれるわけではありません。

施設の領収書に対象額が示されていることがあるため、月ごとの領収書を確認し、対象額と対象外の費用を分けて整理しましょう。

介護医療院

介護医療院は、長期的な医療と介護の両方を必要とする人が入所する施設です。介護医療院に入所している場合も、介護費、食費、居住費の自己負担額が医療費控除の対象となり得ます。

医療的な管理や介護を受ける施設であるため、老健と同様に、施設サービスの対価としての費用は医療費控除の対象として扱われる可能性があります。ただし、個人的な日用品代や嗜好品費、特別なサービス費用などは別に考える必要があります。

領収書の費目だけでは分かりにくい場合は、施設の事務担当者に「確定申告の医療費控除で使う対象額はどこを見ればよいか」と確認するとよいでしょう。

有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の注意点

有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどは、入居費用の全額が当然に医療費控除の対象になるわけではありません。家賃、管理費、食費、生活支援サービス費など、住まいや生活に関する費用が多く含まれるためです。

一方で、施設内または外部サービスとして、医療系サービスや一定の介護サービスを利用している場合、その一部が医療費控除の対象となる可能性があります。ただし、どの費用が対象になるかは、施設の種類、契約内容、サービス内容、領収書の記載によって変わります。

有料老人ホーム等に入居している場合は、施設の領収書に「医療費控除対象額」が記載されているか、介護保険サービスの自己負担分がどのように表示されているかを確認してください。判断が難しいときは、施設、税務署、税理士に相談しましょう。

施設費用のうち対象外になりやすいもの

介護施設の請求書には、介護サービス費以外にも多くの費目が並びます。医療費控除では、医療や介護サービスの対価といえる部分と、通常の生活費に近い部分を分けて考える必要があります。

日常生活費や嗜好品費

日常生活費や嗜好品費は、医療費控除の対象外となる場合が多い費用です。たとえば、個人的に使用する日用品、菓子や飲料などの嗜好品、娯楽に関する支出などは、医療費というより生活費に近いものと考えられます。

施設によっては「日常生活費」「生活雑費」「預り金精算」などの名称で請求されることがあります。名称だけで判断せず、内容を確認することが大切です。

理美容代・衣類代・おむつ以外の雑費

理美容代、衣類代、クリーニング代、個人的な雑貨の購入費なども、医療費控除の対象外となる場合が一般的です。施設内で発生した費用であっても、すべてが医療費になるわけではありません。

おむつ代については、医師が発行する「おむつ使用証明書」など一定の要件を満たす場合に医療費控除の対象となることがあります。ただし、施設費用の中に含まれる場合や請求のされ方によって扱いが変わることがあるため、領収書の記載や証明書の要否を確認しましょう。

入居一時金や特別なサービス費用

有料老人ホームなどで支払う入居一時金、敷金、家賃相当額、生活支援のための費用などは、医療費控除の対象にならない場合があります。入居するための費用や住まいに関する費用は、医療費とは区別されるためです。

また、特別な食事、個別の付き添い、任意のレクリエーション、通常の介護サービスを超えるオプション費用なども、対象外となる可能性があります。請求書の費目が分かりにくい場合は、施設に内訳を確認してください。

確定申告で準備するもの

親の介護施設費用を医療費控除として申告するには、事前の書類整理が大切です。特に、施設の領収書と医療費控除の明細書は必ず確認しましょう。

施設が発行する領収書

まず準備したいのは、施設が発行する領収書です。領収書には、支払日、支払者、入所者名、費目、金額などが記載されています。施設によっては、医療費控除の対象となる金額を「医療費控除対象額」として記載していることがあります。

この記載がある場合は, 確定申告で使う金額を判断する重要な手がかりになります。記載がない場合や、どの費目を集計すればよいか分からない場合は、施設の事務担当者に確認しましょう。

医療費控除の明細書

確定申告では、医療費控除の明細書を作成して添付します。明細書には、医療を受けた人の氏名、支払先、支払った医療費、保険金などで補てんされる金額などを記入します。

親の施設費用を申告する場合は、医療を受けた人を親の氏名、支払先を施設名として整理します。複数月分の領収書がある場合は、施設ごと、親ごとに合計して記載すると分かりやすくなります。

領収書を5年間保管する必要があること

医療費控除では、確定申告書に領収書を添付する必要はありません。ただし、医療費控除の明細書を提出したうえで、領収書は自宅で5年間保管する必要があります。

税務署から確認を求められた場合に提示できるよう、年ごとに封筒やファイルでまとめておくと安心です。施設の領収書だけでなく、振込記録やカード明細など、支払者を確認できる資料も一緒に保管しておくとよいでしょう。

親の介護施設費用を確定申告する手順

実際に申告する際は、いきなり金額を入力するのではなく、領収書の確認、対象額の集計、明細書の作成という順番で進めるとミスを減らせます。

領収書の「医療費控除対象額」を確認する

最初に、施設の領収書に「医療費控除対象額」が記載されているか確認します。記載があれば、その金額を月ごとに集計します。特養の場合は、介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1相当額として対象額が表示されていることがあります。

老健や介護医療院では、介護費・食費・居住費の自己負担額が対象として整理されている場合があります。いずれも、日常生活費や特別なサービス費用が混ざっていないか確認しましょう。

医療費控除の明細書を作成する

次に、集計した金額をもとに医療費控除の明細書を作成します。親が複数の施設を利用していた場合や、入院費、通院費、薬代なども支払っている場合は、それぞれ分けて整理します。

医療費控除額を計算する際は、支払った医療費の合計から、保険金や給付金などで補てんされる金額を差し引きます。そのうえで、原則10万円または総所得金額等の5%を超える部分が控除の対象になります。

e-Taxまたは税務署で申告する

確定申告は、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使ってe-Taxで送信する方法、または作成した申告書を税務署へ提出する方法があります。医療費控除の明細書も申告内容に含めて提出します。

会社員で年末調整を受けている人でも、医療費控除を受けるには原則として確定申告が必要です。申告後も、領収書は5年間保管してください。

まとめ

親の介護施設費用は、条件を満たせば子の確定申告で医療費控除の対象になる可能性があります。ただし、介護施設費用がすべて対象になるわけではなく、施設の種類と費用の内容を分けて確認することが重要です。

  • 特別養護老人ホームは、介護費・食費・居住費の自己負担額のうち、原則として2分の1相当額が対象
  • 介護老人保健施設と介護医療院は、介護費・食費・居住費の自己負担額が対象となり得る
  • 有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどは、入居費用の全額が当然に対象になるわけではない
  • 日常生活費、嗜好品費、理美容代、特別なサービス費用などは対象外となる場合がある
  • 子が申告するには、生計を一にする親族のために、実際に子が支払っていることが重要
  • 医療費控除の明細書を提出し、領収書は5年間保管する

まずは施設の領収書に「医療費控除対象額」が記載されているかを確認しましょう。分からない費目がある場合は施設に確認し、税務上の判断に迷う場合は税務署や税理士に相談することをおすすめします。

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